気持ちも新たに臨んでいたはずなのに、新学期に『だるい』と感じてしまう人がいます。
この記事では、そんな新学期のだるさの、心理的・身体的な原因と、その解消法について、調べてみました。
目次
新学期にだるいと感じるのはなぜ?
一年の中でも、とりわけ新学期にだるさを訴える中学生や高校生が多いのは、なぜなのでしょう?
まずは新学期の『だるい』の原因を、ひも解いてみましょう。
緊張状態からのゆるみ
長い休みの終わりが近付き、新学期の始まりを意識するようになった頃から、緊張を感じだす生徒が増えてきます。
その緊張状態は、新学期が始まり、新しい環境にある程度馴染むまでの間、続くことでしょう。
だるさがやってくるのは、その少し後です。
緊張状態の真っただ中にいる時には、気持ちが張りつめているため、だるさを感じにくくなっているからです。
環境に慣れ、張りつめていた気持ちが少しゆるんだ時、初めて、それまでの心身の疲れを実感して、『なんだかだるい…』となるわけですね。
逆をいえば、この種のだるさは、緊張がゆるむほど環境に馴染んだという証でもありますので、そんなに悪いものではないという、考え方もできそうです。
心のエネルギー不足
『心のエネルギー』とは、人の元気や意欲の素になるもののことです。
心のエネルギーを満たす方法には、
① 安心感
② 楽しいと感じる体験
③ 認められる体験
の、3つの要素が必要だと言われています。
新学期のせわしなさの中で、これらをまんべんなく得ることができるかというと、現実には、なかなか難しいでしょう。
そのため、消耗するばかりで、エネルギーが一向に補充されず、結果として、覇気のない『だるい』状態になってしまうのです。
うまくいかない事が積み重なった
新学期には、無意識のうちに自分自身にも、周りに対しても、期待してしまうものなのかもしれません。
『新しい環境で、たくさん友達を作ろう』
『○年生になったのだから、勉強もしっかりやらないと』
『部活でも、大会に向けて雰囲気を盛り上げていこう』
そんな抱負のひとつひとつが、思い描いていたようには進んでいないと感じた時、心には密かに、ダメージを受けます。
新学期を機に、自分の環境を良いものにしたいという、前向きな気持ちがある子供ほど、日々起こる小さな挫折の積み重ねは、堪えることでしょう。
そんな心のダメージが、感覚的な『だるさ』を引き起こしてしまうと、考えられています。
新学期、だるい理由はもしかして病気?
ここまで、新学期にだるいと感じやすくなる理由を、心理的な背景からお伝えしてきましたが、
もちろん理由はそれだけではありません。
病気を背景とした、身体の不調によって起こる、だるさもあるのです。
思春期の新学期に多い『起立性調整障害』とは?
心理的なだるさにとどまらず、朝起きられないほどの、身体的だるさを感じるようになったら、起立性調整障害の可能性があります。
起立性調整障害とは、自律神経の乱れからくる病気で、これによって循環器系の調節がうまくいかなくなり、倦怠感や立ちくらみ、頭痛や失神といった症状が、あらわれるのだそうです。
小学校高学年から中学生までの、思春期の子供に最も多いとされている病気ですが、ストレスの多い生活をしていると、年齢に関係なく、発症することがあります。
起立性調整障害は、決して怠け癖などではなく、本人にもコントロールすることができない、身体の病気のひとつです。
この病気が疑われる場合、医療機関で受診し、医師の診断を受けて治療しなければ、自然に良くなるということは、ありません。
意志の強さや気合といった精神論で、どうにかできるものではないということを、本人も周囲も、きちんと理解することが大切です。
こちらのサイトに、起立性調整障害についての、詳しい説明の他、簡易チェックリストも載っていますので、参考にしてみてくださいね。
★子供に起こりやすい起立性調整障害(恩師財団済生会HP)
https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/od/
その他の疾患の可能性も…
原因のはっきりしないだるさが長引いている場合、他にも疑われる疾患は、いろいろあります。
甲状腺疾患・糖尿病・悪性腫瘍・貧血・脚気などなど…。
その他にも、脳の働きが関係する、小児慢性疲労症候群という病気もあります。
これらは、医療機関での診察や検査を受けなければ、判明することはなく、改善も望めません。
だるさが長引き、何かおかしいと思ったら、まずは医師に相談してみましょう。
そうして、疾患かどうかの確認をしてもらうことが、新学期の抜けないだるさを克服するための、第一歩になるのです。
新学期の『だるい』を解消する方法
もしも、新学期のだるさが、気持ち的なものであれば、子供本人の心がけや家族の協力によって、解消することができます。
有効とされている解消法を、3つご紹介しますので、是非、参考にしてみてくださいね。
まずはリラックス
なによりも、最初にしてほしいことが、新学期の緊張に疲れてしまった心を、リラックスさせることです。
たとえ短くても、自分のためだけに使う時間を作り、外の世界を忘れて楽しみましょう。
何をしていいのかわからなかったら、一度自分の好きなことをリストアップして、それを順番にやってみても、いいかもしれません。
- 『好きなお菓子を食べる』
- 『好きなアイドルの動画を観る』
など、内容はなんでも構わないので、少しの間好きなことだけをして、頑張った自分を、甘やかしてあげてくださいね。
友達と話す
心の中にたまったモヤモヤは、口に出して人に話してみると、案外すっきりとするものです。
相手は、新学期になってできた、新しい友達でなくてもかまいません。
進学やクラス替えで、離れ離れになってしまった友達とも、携帯電話などを通じて、気軽に連絡がとりやすい時代です。
それを活かして、近況報告がてらお話しをしてみては、いかがでしょうか?
案外、みんな同じような気持ちを感じていることがわかって、心が軽くなったりするかもしれません。
話せる友達が思い当らない時は、家族に話してもいいですし、あるいは日記のような形で、文章にしてみるのも良いですね。
とにかく、内にたまったものを、一旦外に出すというのは、その後の毎日に立ち向かっていくためには、とても大切なことなのです。
生活習慣をただす
正しい生活習慣を送ることは、自律神経をうまく働かせることにつながり、身体面だけでなく、精神的にも、良い影響をもたらします。
たとえば、新学期を迎える前の、長い休みの中で、夜ふかし癖がついてしまっていたりしませんか?
特に睡眠は、脳の疲労を取る大切な時間なので、一定時間きちんと確保することが重要です。
仕事の都合で生活が不規則になりがちな大人と違って、子供は生活時間を、固定することが可能です。
本人が気を付けることももちろんですが、家族が協力をして、子供の体内時計が狂わないように、生活のリズムを整えてあげましょう。
【まとめ】新学期の『だるい』は、放置せずに上手に向き合いましょう
期待に胸をふくらませた新学期が、『だるい』という状態になってしまうには、様々な要因がからんでいることがわかりました。
身体の病気の可能性もありますし、『うまくやっていきたい』という気負いが、自分自身を追い込んだ結果ということも、あるようです。
けれど本来、『うまくやっていきたい』という想いは、成長に必要な、良いストレスであるはず。
だるさを上手に解消しながら、できるだけマイペースに、新学期に臨んでくださいね。