日本で生まれ育った私たちには、桜が咲く4月ごろに入園や入学シーズンを迎えるのが当たり前ですよね。
でも、実は世界的にみるととても珍しいことなんですよ。
また、新学期のスタート時期についても、世界各国やその地域の学校によっても違いがあるのです。
今回は、世界の国々では新学期はいつから始まるのか、どうして日本は新学期のスタートが4月なのか、また、日本とはちょっと違う世界の学校行事についても合わせてお話したいと思います。
目次
【新学期】いつから世界はスタートしているの?
まず最初に、世界の国々の多くは9月から新学期が始まります。
その理由も気になるところですし、反対に、日本の新学期はなぜ4月なのかも疑問ですよね。
その理由をみていきましょう。
新学期・世界の多くは9月からスタート
9月から新学期が始まる国として挙げると、アメリカやカナダ、ロシア、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、トルコ、エジプト、モンゴル、中国などなど。
これはまだ一部ですが、ほとんどの欧米諸国が含まれているようです。
なぜか、それは農業と深く関わっているという説が最も有力とされています。
特にヨーロッパでは、7月~8月は小麦の収穫や家畜用の飼料を作る農作業の繁忙期にあたり、当然子ども達も一緒にお手伝いをする必要がありました。
政府としては国力を上げるため、子ども達への教育にも力を注ぎたいという考えの結果、農繁期が終わる9月に新学期をスタートさせることになったと言われています。
日本の新学期が4月スタートの理由
実は日本も新学期が9月とされていた時代があったのをご存知ですか?
日本で初めて学校制度を定めた教育法令に「学制」がありますが、明治5年(1872年)に明治の新政府が欧米諸国にならって近代化の目的がありました。
当時欧米から教師を招くなどの理由で9月スタートだったわけですね。
しかし、その後明治19年の財政法によって日本の会計年度が4月1日から翌年3月31日を区切りとすることに決まるとともに、新学期が4月にスタートすることとなりました。
つまり、学校運営のために必要なお金を政府から調達しなければ新学期を迎えることができないとも言えるでしょう。
日本の新学期が9月スタートだったらどうなる?
グローバル化やコロナ禍の中で、日本も欧米と同じように入学や新学期の時期を9月にしたらどうかという議論もありますね。
そうすることでメリットもありますが、じゃあ明日からでもすぐにスタートしましょうとは簡単にはいかないのが現状です。
新学期が9月であるメリット
欧米の標準に合わせることで国交間の留学がしやすくなる
この情報社会において、日本という狭い枠組みを超えて世界で活躍したいという人が増えています。できれば子供にもグローバルな視点を持って欲しいというご家庭もあるでしょう。
そんな時、日本独自の学年制を考えずにすぐ留学できことはメリットと言えます。
また、海外からの留学生の受け入れもスムーズになるため、比較的若い世代の間での国際的な交流も活性化するはずです。
海外で就職したり、職業選択の幅が広がる
新学期を国際的な標準に合わせることで、学校関係者である教員も海外で活躍できるチャンスが増えるのではないでしょうか。
また、どこでどんな仕事をするのか、仕事の選び方や働き方のスタイルの選択の幅も広がるかもしれませんね。
子供の視野も広がることも期待できるでしょう。
新学期が9月であるデメリット
移行期間中の児童や未就学児への対応
新学期を4月から9月への移行期間中のトラブルのひとつに、その年度末である3月の卒業生や卒園生はどうなるの?ということがあります。
次の進学までに空白の5ヶ月間があるので、学校の現場や家庭にそのしわ寄せがきてしまうことが懸念されています。
受験や就活活動のタイミングが合わない
さらに、9月に新学期を迎えるということは翌8月に卒業するということ。
移行期間中に受験を控えている、あるいは就職活動をする人にとっては何とも中途半端に時期になってしまいます。
企業の採用シーズンは比較的融通が効くものの、センター試験や国家試験のスケジュールがまだまだ対応できるとは言えませんね。
新学期だけじゃない!?学校行事の世界と日本の違い
世界の標準に合わせることも大事ですが、日本特有の文化や季節の行事も末永く残したいと思いませんか?
新学期だけでなく、学校行事において世界と日本の違いをまとめてみましたよ。
日本にあって世界にはない学校行事
入学式がない
世界では進級のお祝いは家族でしますが、一般的に海外では学校行事としての入学式がありません。クラスで生徒と教師が挨拶する程度のようです。
入学の記念に桜の木の下で家族みんなで写真を撮るのが当たり前、親子同伴で学校の体育館で行われる厳かでいてどこか期待に満ちた入学式がないと思うと少し寂しいですよね。
運動会がない
子どもの運動会は、親にとっても一大イベントのひとつではないでしょうか。
生徒みなが一丸となってひとつの競技を成すという行事は日本をよく表しているようにも思います。
でも海外では体育館がない、あるいはそもそも体育の授業がない国もあるんですよ。
世界にあって日本にはない学校行事
ホームカミング
大学の卒業生や教職員のOBなどを学校に招待して歓待するイベント。
学内ツアーや在学生による出し物、学食会、有名になったOBの講演会などが催されます。
感謝祭
アメリカやカナダの祝日として知られる感謝祭は、日本でいう元旦のお祝いのようなもの。
このお祝いのために学校の先生や生徒が、感謝祭定番のターキーをはじめマッシュポテトにクランベリーソーズ、パンプキンパイを用意するそうですよ。
プロム(プロムナード)
アメリカの高校では最大のイベントといってもよいプロムは学校主催のダンスパーティー。
そのお相手探しはパーティー開催日の半年前からスタートするという男女共に力が入るようですよ。
まとめ
【世界の多くの学校は〇月から新学期】
特に欧米諸国やロシア、中国は9月から新学期がスタートする
【日本の新学期が9月スタートだったら?】
・メリットとして、留学のしやすさや就業の選択肢が広がるので、子供世代が世界で活躍できるチャンスが増える
・デメリットは、子供の学年や年齢によって空白の5ヶ月ができてしまう、また受験や就職のシーズンが合わないなど。
国の会計年度に関わる法律の改正にも時間がかかり、今すぐに9月スタートに切り替えることは難しい。
【日本と世界それぞれ特有の学校行事とは?】
・入学式や運動会は親子で子供の成長を感じられる日本特有の学校行事
・日本にはない世界の学校行事も魅力的