恩田陸さんという作家、ご存じでしょうか。
恩田陸さんは、1992年に『六番目の小夜子』でデビューし、その後さまざまな賞を受賞し、2017年に『蜂蜜と遠雷』で第156回直木三十五賞を受賞しています。
今回は、そんな恩田陸さんの作品『ピクニックの準備』についてのお話をメインに進めていこうと思います。
教科書に掲載されていたり、映画化されていたりしているので、そのあたりのお話をまとめていきます。
目次
『ピクニックの準備』が掲載された教科書とは?
まずは、『ピクニックの準備』が掲載された教科書名と、この小説の簡単なあらすじについてご紹介していこうと思います。
また、『ピクニックの準備』が掲載されている教科書には、ほかにどんな小説が掲載されているのかも、ご紹介していきます。
明解現代文B[改訂版]について
高校生向けの三省堂の教科書です。
特色としては、基礎・基本を確実におさえ、実生活に必要な読解力を養う現代文教材です。
現代文の教科書は3つのジャンルに分かれています。
・随筆:様々な角度から物事を見つめ思いを深めることができる文章
・評論:社会生活に必要な読解力をしっかりと身につけられる教材
・小説:現代の人気作家の作品を中心に、近代の名作も収録済み
この中の、小説のジャンルに『ピクニックの準備』が入っています。
『ピクニックの準備』の簡単なあらすじ
『ピクニックの準備』は『図書室の海』という短編集に収録されている短編の1作です。
また、『ピクニックの準備』は、長編作品『夜のピクニック』の予告編のような作品でもあります。
『夜のピクニック』は高校生活の大イベント、夜を徹して80㎞もの道のりを歩く「歩行祭」を通して高校生たちの秘めた思いを描いている、青春小説です。
『夜のピクニック』のもう少し詳しいあらすじなどは下記にてご紹介します。
『ピクニックの準備』もこの「歩行祭」が題材となっていて、明日行われる最後の歩行祭への思いが語られています。
ネタバレも少ないので、『ピクニックの準備』を読んでから『夜のピクニック』を読んでも問題はないようです。
教科書で気になったら、ぜひ『夜のピクニック』も読んでみてください。
明解現代文B[改訂版]掲載されている他の小説は?
上記でもお話しした通り、現代の人気作家の作品を中心に収録されていますので、ざっとご紹介します。
・水かまきり:川上弘美
・芋ようかん:内海隆一郎
・ナイン:井上ひさし
・カコの話:梨木香歩
・こころ:夏目漱石
・山椒魚:井伏鱒二
・ピクニックの準備:恩田陸
・山月記:中島敦
・魚の餌:梅崎春生
その他に恩田陸の作品が掲載された教科書はこれ!
恩田陸さんの作品は他の教科書にも掲載されています。
掲載されている教科書と簡単なあらすじをご紹介します。
28年度版新編新しい国語3に掲載されている
平成28年度、東京書籍から出されている中学校の教科書に採用されています。
読書案内で紹介されているようです。
この読書案内で紹介されている他の小説もご紹介しておきます。
・龍は眠る:宮部みゆき
・つめたいよるに:江園香織
・山月記:中島敦
・かけら:青山七恵
・山椒大夫・高瀬舟:森鴎外
・夕鶴:木下順二
・野火:大岡昇平
・壁:安部公房
・潮騒:三島由紀夫
・夜のピクニック:恩田陸
・楽園のカンヴァス:原田マハ
・サクリファイス:近藤史恵
・少年H:妹尾河童
・シャーロックホームズの冒険:コナン・ドイル
・星の王子さま:サン=テグジュペリ
・老人と海:ヘミングウェイ
国内外問わず様々な作品が紹介されていますね。
その中の1作品として恩田陸さんの『夜のピクニック』が紹介されています。
『夜のピクニック』の登場人物とあらすじ
それでは、簡単に『夜のピクニック』の登場人物とあらすじをご紹介していきます。
登場人物
話の軸となる2人の登場人物をご紹介します。
《西脇融(にしわきとおる)》
テニス部に所属していた高校3年生。
右膝を怪我していたが、まだ完治せず。
高校入学前に父親が胃がんで亡くなり、母子家庭となる
《甲田貴子(こうだたかこ)》
融の父親が浮気してできた子ども。
母子家庭で育ち、融とは異母兄弟の関係。
あらすじ
舞台は全校生徒が24時間をかけて80㎞を歩くという北高の伝統行事「歩行祭」。
このイベントはただただ歩くことを目的にしておらず、クラスの仲間と共に、自分が抱えている悩みや思いを打ち上げながら進んでいきます。
心のうちをさらけだすので、気を緩ませるような不思議な空間や雰囲気がただよっています。
メイン主人公・貴子は、融と言葉を交わすことを賭けてこの歩行祭へ挑んでいました。
貴子は見事賭けに勝ち、融との会話を成功させます。
異母兄弟である2人が、どんな会話をしたのか、今までのわだかまりを解消していったのか、見どころの1つです。
歩行祭を通して少年少女の成長、青春の輝きをぜひ見届けてください。
実は映像化されていた!映画版『ピクニックの準備』
それでは、最後に映画化されていた『ピクニックの準備』についてまとめていこうと思います。
どんな設定
『夜のピクニック』の前日譚として、オムニバス形式の作品として制作されました。
映画の主な登場人物にスポットライトを当てた10篇の短編作品を収録しています。
・おまじない
・告白
・序奏
・願い事
・シナリオの行方
・おかいもの
・むりっぽい
・ひみつ
・はてのない
・片思いの長さ
原作とは違う内容について
『図書室の海』内の『ピクニックの準備』とは内容が異なり、エピソードはすべて脚本を書いた三澤慶子らのオリジナルの前日譚となっています。
まとめ
・『ピクニックの準備』は高校の現代文の教科書に掲載されていて、教材の1つとなっています。
・『夜のピクニック』も中学校の国語の教科書で読書案内の中で紹介されています。
・『ピクニックの準備』は映画化されていて、歩行祭の前日譚だと設定は変わりませんが、エピソード自体は映画オリジナルのとなっています。
恩田陸さんの作品は2つも教科書で教材の1つとなっていましたね。
子どもたちだけでなく、大人もぜひ読んでほしい作品だと思います。