税務大学校とはどんなものかご存知ですか?
「税務」を学べる機関ではありますが、いわゆる一般的な大学ではありません。
ですが、国税庁や税務署で働きたいと思っているのなら、まず税務大学校に入学して税務や法律についての勉強をしなくてはいけません。
今回は、税務大学校はいったいどんなところなのか、そして税務大学校に入学するための資格や試験内容についてお話したいと思います。
目次
税務大学校に入学するために知っておくべきことは?
日本国内で課せられる税金の適正な課税や徴収を維持する仕事をするためには、税務大学校への入学を避けて通ることはできません。
以下に高校卒業後に税務大学校に入学する場合を例にとって、税務大学校とはどんなところなのか、また、入学するための条件を調べてみました。
税務大学校は職員の研修施設
まず、高卒の場合税務大学校に入学できるのは、国家公務員として「税務署職員採用試験」に合格し採用されていることが条件となっています。
採用後、職員の税務に関わる研修を行う機関が税務大学校なのです。
そして、税務大学校は「大学校」という言葉がついていますが、いわゆる4年生の大学ではありません。
つまり、研修を終えても大卒とはなりません。
寮生活がある
高卒で税務署職員に採用されると、寮生活をしながら新人職員として税務大学校で1年間の研修を受けることになります。
寮生活は基本的に2人1部屋の割り振りで、共同のトイレなどプライベートの空間はありません。
また、起床から就寝までの時間やスケジュールがほぼ決まっている他、夜2時間の自習タイムも設けられているそうです。
研修スタートから1ヶ月間は外泊禁止などのルールが厳しかったり、教官の見回りがあることも覚えておきましょう。
勉強しながらお給料がもらえる
公務員として税務署職員に採用されているので、この1年の研修期間中もお給料がもらえることも大学との大きな違いでしょう。
平日8時30分から17時までの研修はそのまま勤務時間とみなされます。
俸給月額14万円から17万円程度が相場になっています。
また、学ぶ内容も税務署のメインである税法だけでなく、簿記会計学や法律・憲法、実務研修など幅が広いことも特徴です。
税務大学校に入学するための資格
高校や専門学校を卒業した後、税務大学校に入学するためにはまず「税務署職員」にならなくてはいけません。
このとき「税務署職員採用試験」に合格することが必要です。
また、同じ税務に関する仕事を目指す人が受ける試験に「国税専門官採用試験」がありますが、こちらは大卒程度の人が受けるものです。
さらに社会人経験者向けの採用試験もあります。
しかしどの採用ルートでも研修後に各国税局に配属され、税務の仕事に携わることに違いはありません。
税務大学校に入学するための税務署職員採用試験とは?
では税務署職員採用試験の内容を見ていきましょう。
一次試験はマークシート形式を含む筆記試験、二次試験は人物そのものを精査される傾向にあります。
一次試験の概要
【基礎能力試験】(マークシート)
・知能分野20問:文章理解、課題処理、数的処理、資料解釈
・知識分野20問:自然科学、人文科学、社会科学
【適正試験】(マークシート)
・スピードと正確さが試される筆記試験
・課題は置換、照合、計算、分類など比較的簡単な問題
【作文試験】
・文章の表現力や課題の理解力が試される
二次試験の概要
【人物試験】
・対人的な能力などを重点に個別面談
・性格検査
【身体検査】
・一般的な内科系検査
・主に胸部疾患がないか胸部エックス線撮影検査など
採用試験合格後の流れ
一次・二次試験に合格し税務署職員として採用が決まると、上記の税務大学校に入学し1年間の研修を受けることができます。
ここでは税務大学校「普通科」で学びます。
普通科を卒業すると、各国税局管内の税務署に配属され3年間の実務を経験します。
配属される部門には管理運営・徴収・個人課税・資産課税・法人課税・酒類指導官・総務課・税務広報広聴官などさまざま。
実務経験を終えると、さらに税務大学校「中等科」で3ヶ月の研修を受けることになります。
税務大学校は全国に5つの拠点がある
税務大学校は全国に5つの拠点がありますがその都道府県をご紹介します。
高卒採用か大卒採用か、また採用された国税局によって研修を行う税務大学校が異なります。
高卒の税務大学校の拠点と特徴
高卒で「税務署職員採用試験」に合格すると、全国12の国税庁のいずれかで採用が決まります。
採用された都道府県によって4つの税務大学校の拠点に分かれて研修を受けることになっています。
・札幌および関東信越国税局:関東甲信越税務大学校
・仙台、東京および名古屋国税局、沖縄国税事務所:東京税務大学校
・金沢、大阪、広島および高松国税局:大阪税務大学校
・福岡および熊本国税局:熊本税務大学校
大卒の税務大学校の拠点と特徴
大卒で「国税専門官採用試験」に合格し採用された場合、採用された場所に関係なく埼玉県にある和光税務大学校の1拠点で研修が行われます。
研修期間は3ヶ月のみ、こちらも原則寮生活ですが税務署職員研修と比べると比較的ルールが緩いとされています。
まとめ
【税務大学校に入学するために知っておくべきこと】
・税務大学校は税務に関わる仕事を行う国家公務員の研修機関
・高卒税務署職員は1年間の寮生活がある
・税法の他法律や憲法を学べる
・研修期間も公務員としてのお給料がもらえる
・高卒なら税務署職員採用試験に合格する必要がある
(大卒の場合は国税専門官採用試験に合格する必要がある)
【税務署職員採用試験の内容】
・一次試験は基礎能力、適性、作文など主に筆記試験
・二次試験は性格や身体的な試験や検査
・試験合格後に研修や実務経験を行う
【全国に5拠点ある税務大学校】
・税務署職員の研修場所:関東甲信越、東京、大阪、熊本税務大学校
・国税専門官の研修場所:和光税務大学校